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エリカ・ムスターマンの死 13
男は礼儀にのっとり制帽を取ると、そのまま躊躇なく棺の場所まで進んだ。 進むにつれて、男の姿を認めた人々がぎょっとした顔をする。...
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だが、信頼はある。
真夜中の埠頭。月も無い。見える明かりは、沖に停泊している船の赤色灯くらいだ。 その闇に紛れて男がひとり、立ち並ぶ倉庫のひとつに...
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2024年12月30日 | NOVEL / 機動警察パトレイバー
コンティンジェンシー・プラン 01-02
01 コンティンジェンシー・プラン(Contingency Plan)/緊急時対応計画とも。予期せぬ緊急事態や危機が発生した際に...
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2024年12月17日 | NOVEL / 機動警察パトレイバー
Cold Luck -コールド・ラック-
01 東京の冬なんて、北海道出身者にはなんてことない。 上京するまでの野明のあは、そう高を括っていた。だが、実際に生活してみる...
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2024年11月15日 | NOVEL / 機動警察パトレイバー
雨垂れ ―あまだれ―
飽きることなく雨が落ちる 強く、強く 我先にと降り注ぐ 地上を叱咤するように 強く 強く―― 「たいちょうっ! 自...
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2024年11月01日 | NOVEL / 機動警察パトレイバー
位置情報
気がつけば、いつも姿を探している。 理由なんてものはない。 ただ、いつも見える場所にいてくれたら。それだけで。 きっと―...
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エリカ・ムスターマンの死 12
駐車場に入ってすぐに、秘密警察の車が停まっていることに気がついた。 目立つ制服を着た男がひとり、傘をさしながら煙草をくわえてい...
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浦波 -うらなみ-
やっと取れた休暇を、故郷に似た海辺で過ごそうと思った。 故郷にいた時分にはあれだけ煩わしかった波音が懐かしくなるのだから、人間...
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エリカ・ムスターマンの死 11
布地の帽子は、あまり役目を果たしていなかった。 激しさを増す雨に打たれながら、ユーリは重くなった帽子のつばの位置を直す。無いよ...
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申し分なく
穏やかな夜だった。 聞こえてくるのは、カシャカシャという水を含んだ食器の音と、それに合わせてリズムを刻む鼾の輪唱、そしてカルシ...
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貌鳥 - かおよどり -
「森には美しい鳥がいる」 嘆きの鳥と歓喜の鳥。 人を惑わし、人を非難し、人に寄り添う鳥だという。 本当にそうだろうか。 彼...
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エリカ・ムスターマンの死 10
「まずい……」 ユーリ・ブライアは、先ほど上司から渡された書類を握りしめながら唸った。 何度読み直しても書かれている文章が変わ...
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エリカ・ムスターマンの死 09
ボンドに食事を与えていると、内玄関のインターホンが鳴った。まだアーニャもヨルさんも帰ってきていない。どちらかだろうと思い扉を開け...
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incoherent -インコヒーレント-
時間に余裕がある朝は、何品か作り置きを作ることにしている。 「梟」のキーであるアーニャの健康...
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エリカ・ムスターマンの死 08
夕方になる少し前に最寄りの停留所に着いた。トラムを降りたのはエリカひとりだけだ。この時間ならまだ勤め人も帰ってこない。 トラム...
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